はじめまして。『OQ(オーナーシップ指数)』訳者の一人、京都産業大学の福冨です。
今回、私のゼミの学生たちが話していた内容をキッカケに
「日本のケース・スタディやビジネスにあまり見られない発想法」について
『OQ』の内容から紹介したいと思います。
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まずは、ファミレスでアルバイトをしているというゼミ生の問いをご覧ください。
元ネタは接客関係の本に書かれていた話だそうです。
あるゼミ学生の問い
あなたはファミレスでアルバイトをしています。ある「客」が禁煙席で煙草に火を点けました。あなたなら、この「客」に対して、何をどのように伝えますか?
福冨(「客」というゾンザイな表現は意図して使用しています)
そのゼミ学生自身による「模範解答」
お客様、誠に申し訳ございませんが、こちらは喫煙席になっております。他のお客様のご迷惑になりますので、あちらの喫煙席におうつりいただけませんでしょうか?
福冨(変な日本語も意図して使っています。アリガチだということで)
ゼミ学生の問い(2)
すると、その「客」が怒り出しました。あなたは何かまずいことを言ったかもしれません。あるいは、あなたの伝え方が何かまずかったようです。あなたならどのように対応しますか?
問いかけられた学生たちの回答
・まず謝る
・とにかく謝る
・許してもらえるまで、移動してもらえるまで謝る
・許してもらえなければ、店長(社員)を呼ぶ
・
・
・
・そして店長(社員)も謝る
一切賛同を得なかった意見
・そんな「客」追い出せ
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こんな「客」を追い出せない職場では、従業員の熱意や愛情を得ることは非常に難しい。
『OQ』に取り上げられている事例に基づくと、このように考えられます。
先ほどは、このような「客」は「顧客」ではない、という意味でゾンザイな表現をしました。
著者らは「顧客を選ぶ」という表現を使用しています。
あるいは「(わが社に)ふさわしい顧客がわが社を選ぶ」ことを目標にすべき、と主張します。
「ふさわしい顧客を選び、そして、その顧客に選ばれてこそ、従業員たちは熱く働き、
職場の良さを人々に伝え回り、社の成功を自らの成功のことのように喜び、
その持続のために努力するのだ」というのが彼らの主張です。
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このような「顧客を選ぶ」という発想は日本人にあまり馴染みがないかもわかりません。
もし、上記の「謝る」という対応方法が不自然に映らないのだとしたら。
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けれども、これはもちろん理想論なのでしょう。
話がそんなにうまい具合に進むとは考えにくいです。
しかし、従業員の熱意を引き出すことを考えるのであれば、彼・彼女たちが、
少なくとも、表情豊かに仕事ができるような方法を考える意義があると思います。
「謝っておくしかないよね」と割り切った顔をしている、無表情な若者たちの姿が
まざまざと目に浮かぶものですから。
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『OQ』の事例のなかには、ステーキハウスの事例があります。
私が現在最も好きな事例です。
福冨による問い
このステーキハウス。従業員たちが心地よく仕事をするために「VIP顧客」の条件を設定します。一体どのように「VIP顧客」を選んでいるのでしょう?
答えは・・・
翻訳書の112ページをご覧ください。
福冨(アザトイのは良くないですね。答え。「従業員の投票」で「VIP顧客」を選んでいます。より詳しくは本書を)
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それでは、次に、とても興味深いストーリーをご紹介します。
従業員の立場から記述する、豊かなケース・スタディです。
私たちの職場のOQについて是非ともお話しさせてください。
わt
おっと、こんな夜更けに誰かが来たようです。
一体誰でしょう、こんな時間に? つづきは後ほど。