原著の評判

Posted by 著者ブログ | Posted in お知らせ | 投稿日: 2010年03月31日

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「OQ サービスプロフィットチェーンによる競争優位の構築」は、”Ownership Quotient : Putting the Service Profit Chain to Work for Unbeatable Competitive Advantege” の翻訳です。

この本は、ハーバード・ビジネススクールの名誉教授J. L. Heskett先生とW. E. Sasser教授、そしてコンサルタントのJ. Wheelerの3名による著作です。Heskett先生もSasser先生もサービス・マネジメント研究者として有名です。Wheelerさんは、Service Profit Chain Instituteというコンサルティング会社の社長です。おそらく、この本に掲載されているコンセプトを使って企業へのコンサルティング活動を行っているようです。

原著の評判は、アマゾンの書評を見る限り、なかなかいいです。

実は、この本には前作、前々作があります。両署ともに日本語訳が出ています。

The Service Profit Chain (日本語版「カスタマー・ロイヤルティ経営」1998年)

The Value Profit Chain(日本語版「バリュー・プロフィット・チェーン」2004年)

これらを読まれた方は、是非、最新刊もご覧ください。サービス・プロフィット・チェーンの進化型が示されています。また、前作前々作をご覧いただいていない方も、十分楽しめます。例えば、サービス・プロフィット・チェーンについては、コラムで詳しく紹介されています。

4月20日頃に店頭に並びますので、ご期待ください。

黒岩健一郎

 

日本のビルド・ア・ベア ワークショップ

Posted by 著者ブログ | Posted in ビルド・ア・ベア ワークショップ | 投稿日: 2010年03月22日

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本書の中では、OQの高い企業の例として、「ビルド・ア・ベア ワークショップ」が取り上げられています。この企業の行っている事業は、ぬいぐるみやそのぬいぐるみ用の服などの小売店舗での販売です。しかし、単にぬいぐるみを販売しているというよりも、ぬいぐるみを自分の好みにカスタマイズしていく楽しみを提供していると言ったほうがいいでしょう。彼らは「体験型ストア」と称しています。

すでに日本にも進出しているので、翻訳の正確性を高めるためにも、店舗に出向いてみることにしました。しかし、さすがに子供がメインターゲットであるビルド・ア・ベア ワークショップに、おじさん1人で行く勇気はありません。妻に頼んで、池袋のサンシャインシティ内にある店舗に一緒に行ってみました。

店舗に近づくと、まず、にこやかなお姉さんが挨拶してきました。そして、ぬいぐるみの外側の部分だけが積まれている棚に案内されます。社名に「ベア」がつくので、ぬいぐるみはクマだけかと思っていたら、フクロウやさる、犬のぬいぐるみもあります。15種類以上のぬいぐるみの皮がならんでいるので、どれを選ぶかで結構時間がかかりました。さらに、同じ種類でも、縫い方の違いで微妙に顔の表情が違います。たぶん、わざと均一にならないようにしているのだろうと思います。一番かわいい(と思う)ものを選びました。

次に、サウンドチップを選びます。「I Love You」という声がするチップを選んで、ぬいぐるみに綿を入れる所に移動します。綿を入れ、サウンドチップを埋め込んだ後に、儀式があります。ハート型の心臓にキスして、ぬいぐるみにもキスをさせて、願い事をするのです。さすがに妻も照れくさそうでしたが、子供たちは、これで、ぬいぐるみとお友達になった気持ちになるのでしょうね。

綿が入ってふっくらしたぬいぐるみができたら、次は出生証明書をパソコンでつくりました。名前は、なぜか「リック」としました。なんとなく、和風の名前は似合わない感じがしたのです。

問題は、この後です。店内には、この裸のリック君用の洋服がたくさん飾ってあって、それを無視してレジに向かうことはほぼ無理でしょう。妻は、リック君にいろいろな服を着せ始めました。Tシャツ、ジーンズ、オーバーオール、下着まであります。帽子、サングラス、靴下に靴、バッグなど、小物も充実しています。結局、ぬいぐるみに加え、サングラスと革ジャンを購入しました。ぬいぐるみだけだと1700円だったのに、合計5750円にもなってしまいました。

リック君は、自宅のソファーに陣取っています。妻は、次のアイテム(和服?)を狙っているようです。

黒岩健一郎

クラブメッドのシンプル・エクセレンス

Posted by 著者ブログ | Posted in シンプル・エクセレンス | 投稿日: 2010年03月17日

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第6章に、「シンプル・エクセレンス」というワードが出てきます。本文では、顧客と直接接触する従業員が、顧客へ感動経験を提供できるように構築されたオペレーションの基本的な骨格と説明されています。つまり、現場社員にも簡単にできるようにシンプルなオペレーションであるが、うまく仕組まれているので顧客が感動してしまう、そんな取り組みのことです。

シンプル・エクセレンスの事例として、インドのダバワラが取り上げられています。ダバワラは、お弁当のデリバリーサービスですが、読み書きのできない従業員でも、お弁当を間違いなく配送できるようなシステムが紹介されています。(詳しくは、本をごらんください)

先日、クラブメッドのバリ島へ行ったのですが、そこでシンプル・エクセレンスの事例を発見しました。

クラブメッドの従業員が、あちこちで、あるカップルに、「ハッピー、ハネムーン」と声をかけていました。事前に、ハネムーン客が来ているとわかっていても、どのお客さんかを特定するのは難しいはずです。たくさんのお客さんがいる中で、なぜ多くの従業員が、そのカップルがハネムーンであることがわかるのか、最初は私にはよくわかりませんでした。でも、よく観察すると、従業員はカップルの手首をチラッと見てから、「ハネムーンなんですね。楽しんでください」などと声をかけています。

実は、クラブメッドのバリに宿泊するお客さんは、全員、手首に色のついたひもを結ばれています。チェックインのときに「クラブメッドに宿泊している方と外部の方を見分けるために、ひもをお付けいただいております。バーなどでは、このひもを見せていただければ、飲み物は無料でお飲みいただけます」と説明されます。従業員は、そのひもの色でハネムーン客を判断しているのです。ピンク色のひもをした人が、ハネムーンです。私たちは、グリーンのひもでしたので、一般の(VIPではない)大人客でしょう。アルコールを提供できない子供客も別の色にしていました。もちろん、VIPも区別されています。

このように、単純な工夫ではあるけれども、これによって現場の社員が適切な対応をすることができます。たくさんの従業員に声をかけられていたカップルは、照れながらも、嬉しそうでした。おそらく、次の旅行もクラブメッドでしょう。大したコストはかからないのに、大きな武器になっていました。

黒岩健一郎

OQブログはじめました

Posted by 著者ブログ | Posted in お知らせ | 投稿日: 2010年03月09日

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このブログは、04月09日に発行予定の「OQ(オーナーシップ指数) サービス・プロフィット・チェーンによる競争優位の構築(仮題)」に関するブログです。

OQとは、Ownership Quotient の略です。OQは、本書の重要なキーワードです。OQについて、少しだけご説明しておきましょう。

本書では、顧客や従業員がまるで自分たちが会社を所有しているがごとくふるまう企業の事例が数多く紹介されています。このようなオーナーシップ意識を持った顧客、そしてオーナシップ意識を持った従業員が多い企業こそ優れた企業であると説いています。オーナーシップ意識を持った顧客の全顧客に占める割合を顧客OQ、オーナーシップ意識を持った従業員の全従業員に占める割合を従業員OQと定義しています。顧客OQと従業員OQが高い企業は、収益性も良いことも記されています。

このブログでは、このOQに関係する話題を提供したいと思います。みなさまの本書の理解を促進できれば幸甚です。

03月09日(OQの日) 黒岩健一郎