「診断士の独立開業日記」vol.6
『“道産子的”マイペース開業日記』[最終回]

秋田舞美(中小企業診断士)

転勤がイヤ! 新しい部署が自分には合わない!! 会社の方針が受け入れられない!!!――皆さんは今、就業している会社に対して不満はありませんか?

秋田舞美(中小企業診断士)のブログ程度の差はあれ、おそらく誰もが持っている仕事への不満。けれど、開業してしまえば、そんな不満は出てきません。だって、最初から存在している仕事なんて、ないんですから。そう、独立開業した者にとって仕事とは、お湯を注げばあとは食べるだけのカップラーメンのごとく、座っていて当たり前のように出てくるものではないんです。

開業してもっとも驚いたのは、決断しなければならない事項の多さです。たとえば、あなたが独立開業したとします。まずは、「仕事をする」という決断をします。あなたのすべての仕事は、あなたの決断によってつくられるのです。その決断によって部門ができ(人員は自分1人でも)、事業が始まります。スイーツをつくろうか、建物を建てようか、商品を仕入れて販売しようか、はたまた中小企業支援をしようか……。これらすべての事項は、自分で決められるのと同時に、自分で決断しなければ、何も起こりません。

この状況に、初期の私はパニックに!!! よく、「与えられた事項を必死にこなしているうちに、自然と……」という言葉を聞きますが、これはウソです。というか、この言葉が真実であるうちは、それは独立ではなく、パラサイト状態なのだと思います。別にパラサイトでも、最後まで食べていければいいのですが、いくら“専門家”というかっこいい名前で呼ばれていても、派遣切りよろしく、ピンチになったら宿主に置いていかれてしまうのが、“寄生虫”の悲しさです。

来年、あなたには仕事があるか? メシを食っていけるか??――これを保証するのは、あなたの決断でしかないのです。それこそが、開業です。

専門分野だって、同じです。専門化難民になってしまっている皆様、専門分野とは、自然発生的なものではありません。自ら、決めるのです。「他と差別化なんてできないよ」などと、言わないこと。開業する私たちだって、“中小企業”なのだから、専門がないなら決めればいい。いえ、マーケティングの一部として、決めるべきなのです。

私だって、最初はありませんでしたし、今でも、研究や実績を積んだ分野を専門分野としているわけではありません。でも、仕事をしているうちに、好き嫌いや得意不得意、そういったことが、だいたいわかってきます。その感覚で、決めるのです!

  • まず、決める。
  • 決まらなかったら、無理にでも決める。
  • 決めたら、動く。
  • 動きながらも、さらに決める。

決断がなければ、とどまることしかできません。何もなさず、何も生まないままに。

  • 決断により、自らが創られる。

これが、私が学んだ、本連載最後の金言です。

  • プラスαの処世術〜図々しいこと、スーパーのおばちゃんのごとし!〜

そして、決断したらとにかく、遠慮せずに動くこと。私は北海道人なので、関東の方はよく、「こちらに来たら、遊びに来てください」と言ってくださいます。まぁ、来るとは思ってもいない社交辞令。けれど、行くんです(笑)。ちなみに私、同友館にもこうして訪問しました。ねっ、同友館さん♪

こうしたおばちゃん的縁(えにし)が、人と人とを結びます。半年続いた本連載も、今回で最終回。けれど、そんな風にいつか、どこかでお会いする。そのための「決断」を今、しているところかもしれません。では、そのときまで!



中小企業診断士 秋田舞美 プロフィール

秋田舞美
  • 1978年 札幌生まれ
  • 2001年 東証1部上場の化学メーカーに就職(審査グループ)
  • 2005年 中小企業診断士登録(登録番号:402913)
  • 2007年 秋田診断士事務所開業

※2006年より、(独)中小企業基盤整備機構 北海道支部 新連携担当としても活動(現職:アシスタントマネージャー)

得意分野 ・新規市場進出・戦略的な情報発信・公的施策への対応等
得意業種 ・製造業・営業、啓蒙活動と必要とするサービス等