差別化の重要性がいわれて久しい。 もっとも、いまや規模を問わずほとんどの企業が何らかの差別化策を打ち出している。 こうなると差別化も一筋縄ではいかない。かといって経営資源に乏しい中小企業が価格競争に巻き込まれれば、ひとたまりもない。やはり中小企業には、他社との棲み分けを可能にする、個性的な違いを生み出す戦略が必要となる。 本書のテーマはまさにその「個性」である。 そもそも中小企業は多種多様な存在といわれる。その理由を突き詰めて考えると、事業領域の選択や経営方針の決定に関して、経営者の嗜好や考え方などの影響が表れているからではないだろうか。経営者と従業員の距離が近いことから、従業員の嗜好や考え方が経営者の判断に影響を与えていることも考えられる。 「十人十色」「蓼食う虫も好き好き」という言葉があるように、元来、人間の個性は多種多様である。 ならば、そうした個性をより強く経営に投影させることで、企業も個性的な違いを生みだすことができるのではないかというのが本書の出発点である。
民間金融機関の取り組みを補完し、事業に取り組む方々等を支援する政策金融機関の研究部門。経営者や家族だけで稼働する生業的な企業から株式上場を目前にしたハイテクベンチャー企業まで、さまざまな中小企業を研究対象とし、アンケート調査やヒアリング調査など多くの中小企業をお客さまとする日本公庫ならではのフィールドワークを基礎に、専門性・独自性・先進性に富む研究活動を展開している。
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