金融円滑化法の影響もあり、金融機関では、債権者として融資先を監視していこうという発想から、中小企業の経営に金融面から深くかかわることによってお客様の経営改善を支援していこうという発想へと大きく変わりつつある。 その背景には、お客様サイドのみならず金融当局からも、「銀行のコンサルティング機能の強化と発揮」が強く要求されるという現実があり、銀行が経営改善計画の作成段階から深く関わろうとする動きもこの表れと言える。 しかし残念なことに、銀行員には、時間的余裕がないこともさることながら、経営計画の策定に必要となる管理会計・戦略会計(未来会計)の知識が乏しいこともまた事実である。発想は転換したものの、財務分析・財務会計(過去会計)を中心とした「債権者としての与信判断基準」をベースとして企業を見るため、適切な指導ができないのだ。必然的に、銀行サイドから見れば当該中小企業の顧問税理士・会計士が果たしてくれる役割への期待が大きくなる。しかし、税理士・会計士の業務もまた、税務を中心とした制度会計(過去会計)が主体であり、コンサルティング的な活動を中心にでも行っていない限り、戦略的な会計視点で経営指導に当たれる顧問税理士・会計士は少ない。 このような現実を踏まえ、中小企業の経営支援に積極的にかかわっていこうとするコンサルタントや金融機関関係者に対し、戦略会計知識を補填してもらう目的で上梓したのが本書である。
第1章 企業実態把握のための基本認識 第2章 キャッシュフロー会計 第3章 税効果会計 第4章 連結会計 第5章 セグメント情報会計 第6章 経営改善計画の策定 事例(1) 小売業の経営改善計画(X社) 事例(2) 製造業の経営改善計画(Y社) 事例(3) 建設不動産業の経営改善計画(Z社)
1955年神奈川県生まれ。 早稲田大学政治経済学部卒業。 銀行・レーティング機関・コンサルティング会社勤務を経て、現在は都内の金融機関に在籍。
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