『「逆転の発想」の経営学―理念と連携が生み出す力―』が出版されてから10年、企業経営を取り巻く環境は時代の流れとともに大きく変化した。新版となる本書は、「ヒトの重要性」というコアコンセプトを残したまま、新たな事例や知見を加えた。 多くの企業は人材のスキル面を重視し、その管理を行いたがる。しかし、本当に重要なのは、「スキルに関するデータベース」作りよりも、「その人材、個人に関するデータベース」だ。そしてそれこそが、社員や顧客に「安心感」を約束することへつながる。頻繁に社員を整理したり、非正社員化したり、商品の価格を上げ下げして、社員と顧客に不安を与えることは、優れた経営戦略とは言えない。 「ヒトを大切にする経営戦略」の実践のために何が必要か、それをどのように活かしていくか、詳述する。
第I部 モノの見方―あなたは損をしていないか― 1. 「Creativity(創造性)」の育て方 2. 「常識」の落とし穴 3. 「逆転の発想」の実例 第II部 経営戦略の基礎理論 1. 経営戦略の役割と策定プロセスおよび組織の3要素 2. PPM 3. SWOT分析 4. 競争戦略と協調戦略 5. リーダーシップ論 6. CRM 第III部 理念型企業 1. 繋がりの経営 2. 本田技研工業─「やってみもせんで」 3. 日本理化学工業─「有能なエグゼクティブは書けないペンを捨てない」 4. 伊那食品工業─「ヒトではなく利益を調整する」 5. アトラエ─「仕事は時間ではなく、エンゲージメントで行う」 第IV部 社会と共生する企業経営 1. CSRについての誤った解釈 2. CSR論と企業倫理 3. 社会と共生する企業経営の最近の動向 4. 積極的CSRのケース・スタディ─ボーダレス・ジャパン─
1988年上智大学経済学部卒業後、93年同大学院経済学研究科博士課程単位取得。 福岡大学商学部教授。経営戦略論担当。コロンビア大学客員研究員(2011年〜12年)。 主な著書に『サスティナブル・コーチング 「自走する組織」の創り方』(共著、同友館、2021年)、『「逆転の発想」の経営学―理念と連携が生み出す力―』(同友館、2010年)、『チャンスをつかむ中小企業―ケースで学ぶリーダーの条件―』(共著、創成社、2010年)、『「企業の社会的責任論」の形成と展開』(共著、ミネルヴァ書房、2006年)、『伸びる企業の現場力』(共著、創成社、2006年)、『現代経営戦略の論理と展開―持続的成長のための経営戦略―』(同友館、2004年)、主な訳書(共訳)に『50のテーマで読み解くCSRハンドブック―キーコンセプトから学ぶ企業の社会的責任―』(ミネルヴァ書房、2021年)『コトラーのソーシャル・マーケティング―地球環境を守るために―』(ミネルヴァ書房、2019年)『企業と社会(上・下)』(ミネルヴァ書房、2012年)『ハイパーカルチャー』(ミネルヴァ書房、2010年)、『社会にやさしい企業』(同友館、2003年)、などがある。その他、論文多数。
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