「仕事って、依頼者へのプレゼンの場でもあるんだ」―こんなシンプルなことを体感したのは、結構最近のことです。
独立後、思いがけずいろいろな方から声をかけていただき、「その気持ちに、どうやったら応えられるかな」、「こんなアウトプットでいいのだろうか」と、手探りながら自分なりに一生懸命仕事をしています。すると、少しずつですが、次の仕事につながることが出てきました。
独立したての頃、「紹介責任」という言葉を聞いたときは、ただただ「頑張らなきゃ」と思いました。私を誰かに紹介するということは、紹介者が自分の「責任」で相手の方と私をつないでくれたということです。サービス業は無形ですから、紹介者も不安なはず。その気持ちに応えるには、仕事で成果を出すことが一番ですよね。「紹介していただいた気持ちに応えよう」、「お客様に少しでも喜んでもらえるようにしよう」と、いつもドキドキです。そんな中、一定の評価をいただけると、ホッとする気持ちと、「次はもっとよくしよう」という気持ちが入り混じりますが、クライアントによい評価をいただければ、紹介してくださった方もひと安心だと思います。信用というものは、その積み重ねでできていくのだと感じています。といいつつ、納期と品質のバランスをどうとるかは、まだまだ課題ですが…。
「○○さんは、絶対〆切に遅れない」、「□□なら○○さんにお願いすれば大丈夫」―こんな話も、よく耳にします。個人で仕事をするうえで、口コミや評判の影響力はとても大きいものです。依頼されたことにきちんと応えるといった当たり前のことができるかどうかが、次の仕事への分かれ目だと考えています。
私が独立してすぐに周りの方から声をかけていただいたのは、とてもありがたいことでした。でも、この後も続けて仕事ができるか―それがきっと、自分の力を問われるということなのだとも痛感しています。
写真はこの夏、屋形船に乗ったときのものです(こんなにカジュアルな、「もんじゃ屋形船」というのがあるのです…)。一緒に写っているのは、受験生時代に一緒に勉強してきた友人たち。大勢で集まるのは年に数回ですが、このメンバーの多くが独立したり、診断士関係の仕事に携わっていたりするのも、不思議な縁だなぁと思っています。この中に、第2回でお話しした、初めてのセミナー講師のきっかけをくれた方もいらっしゃいます。いま、どうにか診断士としてはじめの一歩が踏み出せたのは、長い受験生時代や企業内診断士時代の友人、その後の活動を通じてお世話になった方たちとのつながりがきっかけなんだと、この写真をみてつくづく思います。
受験しても、なかなか期待した結果が出ないことはあるでしょうし、診断士になっても、活動の時間がつくれない時期はあると思います。でも、「思い」を持って周りの人と誠実に向き合えば、チャンスは絶対にくると考えています。
独立したとき、私は受験生時代にお世話になった先生にメールを送りました。当時、将来の目標を聞かれ、「できればいつか独立して、一人前の仕事ができるようになりたい」と答えたのを思い出し、こう書きました。
「おかげ様で、夢の半分が叶いました。あとは、“一人前の仕事をする”という、重たいほうの半分です。スタートラインに立てたことを感謝し、何事も楽しんで責任感を持ち、やっていきます」
とはいえ、一人前の仕事がどういうものか、まだまだ手探りの状態です。でも、せっかく独立したのですから、自分の力で直接、お客様の役に立つ仕事がしたい。この思いを持ち、正しい方向に向かって努力すれば、道は拓けると信じています。
私のお気に入りのフレーズがあります。尊敬している方から教わったものです。
「社会人の特権は、カンニングで成長できることだよね」
そう、モノマネは成長への近道。「あの人のようになりたい」と思える方が周りにたくさんいるのは、とても幸せなことです。この幸せを大切にして、次に皆さんとお会いするときにはもう少し成長していられるよう、何事も楽しんでチャレンジしていきます。
半年間読んでいただき、ありがとうございました!
1971年生まれ。青山学院大学経済学部卒業後、百貨店に入社し、販売や仕入等に携わる。
2008年中小企業診断士登録。2年間企業内診断士として活動した後、2010年1月に独立。現在は、百貨店での経験を活かし、接客やコミュニケーションに関する講師業や執筆活動などに従事している。