皆さん、こんにちは。今月のコラムを担当いたします診断士の金世永です。どうぞよろしくお願いいたします。
私が診断士の資格を目指したのは、大学卒業後、社会人になって間もない頃のこと。長い受験生活を経て、ようやく2年前に合格し、その後晴れて独立となりましたが、受験生活中に読んだ本はどちらかと言えば、読みたい本よりも試験に直結する本が中心でした。参考書だったり、ハードカバーの難しい本だったり。ほかの本も読んではいましたが、試験日が近づくに連れて、その冊数は減る傾向にあったように思います。その頃の私の書籍購入量をグラフ化すると、季節変動傾向がかなり顕著に現れているでしょう。
ここ最近はすっかり受験生活からも解放され、好きな本や読みたい本を多く買うようになりました。とは言え、本を読む時間が以前より増えたわけではなく、むしろ以前にも増して積読となる割合が高まっているのですが……。先日は、先輩診断士の事務所で古本の蔵書市があると聞いてお邪魔し、ビジネス関連の良書を13冊購入。また、同じ日に別の古書店で、100円コーナーに並ぶ本を中心に大人買いし、1日で合計37冊もの本を購入してしまいました。
1日の購入冊数、自己ベスト更新! との喜びも束の間、妻からは「あの〜、うち、そんなに広くないんですけど……」とチクリ。まったくもって、ご指摘のとおりでありました。最近は、本を読むスピードよりも新たに購入するスピードのほうが速く、部屋はどんどん狭くなる一方です。それでも私は、今後もリミッターが解除されたかのように本を購入し続けるのでしょう。
私がそれほどまでに本を読みたいと思うのは、まだまだ知らないことが多いと日々感じているからです。努力して取得した診断士資格ですが、その価値を高めるためにも、さらなる勉強が必要だと思っています。「資格取得はゴールにあらず」です。
勉強をし続けることの必要性は、受験生にとっても独立診断士にとっても同じです。両者の成果物に対する評価尺度や、評価を得るまでのプロセスは違いますが、「評価者にいかに評価されるか」という点では共通しています。特に、受験の際の評価者である採点者は、アウトプットという成果物でしか評価ができません。プロセスも評価対象である設問の場合は別ですが、どれだけインプットに時間と労力を費やしたか、それまでのプロセスがどうだったかは、評価の対象にならないことがほとんどです。
シビアに感じますが、それはそれで仕方ありません。だからこそ、重要なアウトプットをよりよいものにするために、インプットを徹底的に行うのです。大切なのは、アウトプットの価値を最大化するためにインプットをするということです。
プロセスあってのゴールであり、ゴールあってのプロセスでもあります。このつながりは、受験においてもコンサルティングにおいても、また企業経営においても重要です。私個人も、独立診断士として活動しながら、このことを日々考えています。クライアント企業の支援の成果が明確になるよう、よりインプットに力を入れる必要があるのです。そのためにも、これからも多くの本を購入し、知識と知恵を身につけて仕事に取り組もうと思っています。
妻にこのことを話すと、「ふ〜ん、そうですか」と軽くあしらわれました。どうやら、わが家の評価者の評価尺度にはなじまない話のようでした。余談になりますが、アウトプットとインプット、今どちらに重点を置くべきかというのは、人それぞれ異なることをお忘れなく。それぞれのつながりを意識しながらも、しっかりご自身のスケジュールの中でウェイトづけをすることをおすすめします。