受験生時代、ガソリンスタンドに勤務していた私は、自家用車で通勤していました。朝6時過ぎからの開店準備に間に合わせるため、5時半には自宅を出発していました。自宅から職場へ向かう道は比較的空いているので、40分程度で到着しますが、帰りの時間帯は道が混雑するため、帰宅に1時間以上はかかります。
私は、この通勤時間を受験対策として活用できないものかと考えました。そこで、当時通っていた受験校には講義を録音できるサービスがあったので、車内で講義の音声データを再生し、毎日聞きながら運転していました。「これで、1日に2時間弱の勉強時間を確保できる」?私は、そう思っていましたが、運転中は運転に集中しており、音声を聞き流していただけだったので、何回聞いても講義内容が身につかず、私にとってこの方法は、あまり有効な受験対策ではありませんでした(もっとも、運転中に音声データに集中しているようでは、危険極まりないのですが…)。
その後、私は音声データを聞きながら運転するのを止めました。また、毎日更新していたブログに勉強時間を記載するのも止めました。何をもって勉強時間とカウントするか、基準がない数値を公表することには意味がないと思ったからです。
そうしたことに気づき始めた私は、起床時間を早め、出社前の時間を机に向かっての勉強時間にあてるようになりました。
とは言え、決して朝に強くはない私がさらに起床時間を早めるのは、困難を極めました。最初は4時に起床するようにしましたが、目が覚めなかったり、机に向かってもウトウトしていたり。そこで、ブログで早朝学習する仲間を募り、ネット上で組織化しました。参加表明をしてくれた早起き受験生仲間内で、起床したことを知らせるブログ記事を書いたり、仲間のブログにコメントを入れたりと、早起きした事実を残すようにルールを決めました。いまなら、ツイッターも活用できるでしょう。
余談ですが、当時の私は1次試験対策で運営管理を勉強しており、勉強したばかりのFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)をもじり、早起き受験生仲間をFSP(ファストモーニング・スタディ・ピープル)隊と名づけました。英語に詳しい一部の方からは、「ファスト(FAST)ではなく、アーリー(EARLY)だろう」とか、「スタディ(STUDY)ではなく、ラーン(LEARN)だろう」といった声も挙がりましたが、それはどうでもいいことで、とにかく励まし合い、早起きをしたかったのです。
こうした取組みで早起きの習慣をつけた私ですが、だんだんと、ブログを書く時間や、仲間のブログを見に行く時間すら惜しくなるようになってきました。そして、FSP隊が自然消滅したのを機に、ブログの更新頻度もそれまでの半分以下に減らし、勉強時間を少しでも捻出するようにしました。ちなみに合格年度は、朝3時半に起床し、出社前に1事例を解いてから出勤していました。
さて、このようにして早朝勉強を行っていた私ですが、起床時間を早めるようになって気づいたことがいくつかあります。その1つに、1日を主体的にスタートできることが挙げられます。それまでの私にとって、朝は「やってくる」ものでした。「会社に行かなければならないから、仕方なく起床する」という受け身の姿勢だったのです。しかし、起床時間を自分の意思によって早めたことで、「自らの意思で1日をスタートさせる」、つまり朝は「迎える」ものになりました。こうした主体的な姿勢は、仕事でも上司の指示を待つのでなく、自ら考え、行動するといった変化につながっていきました。
思い起こしていくと、診断士の受験対策は、知識やスキルのほかに、時として生き方も問うものではないかと思えてなりません。