診断士2次試験に合格して間もない頃、あるラジオ番組を聴く機会がありました。それは、30年間にわたって毎日ジョギングをしている高齢男性へのインタビューでした。その方は運動のおかげなのか、高齢にもかかわらず、若々しく朗々とした声だったことを覚えています。
私は受験生時代、主に朝の時間を使って勉強していました。その後、試験に合格し、受験勉強をしなくなってもやはり、早朝に目が覚めてしまうわけで、朝の時間を持て余していた私は、このインタビューを聴いてジョギングをすることにしました。とは言え、ジョギングなんて高校時代の部活以来、20数年ぶりの話です。
初日は30分間走る予定でしたが、ほとんどウォーキングになってしまいました。おまけに、翌日はひどい筋肉痛です。しかし、それに耐えて毎日走り続けているうちに、いつの間にか筋肉痛がなくなっていきました。そしてしだいに、ウォーキングよりもジョギングの時間のほうが長くなり、当たり前のように30分間完走できるようになっていったのです。
走ると体の細胞が活性化するのでしょうか、爽快感も得られるようになってきました。また、血行がよくなったのか、筋肉がついたのか、長年苦しんできた腰痛・肩こりも解消していきました。さらに数ヵ月後、ズボンのウエストが緩くなってきていることにも気づきます。初めて知ったダイエットの味。ジョギングの効果が、目に見えて現れるようになってきました。
あれから3年半が経ちますが、いまだにジョギングは続いています。効果を感じることができ、そのような経験があるからこそ、これまでジョギングを続けられたのだと思います。
診断士の受験勉強においても、効果を感じながら勉強できれば楽しくなりますし、継続することも苦ではなくなるでしょう。しかし実際には、自分にどれだけ実力がついたのか、勉強の効果を感じられず、無力感に襲われることもあると思います。ここで気をつけたいのは、勉強の効果は降ってくるものではなく、自分で見つけ出していくものだということです。
1次試験の勉強を開始した当初は、テキストの内容が理解できず、講師の言っていることがちんぷんかんぷんな状態でも、それなりに時間を費やせば理解できるようになってきます。それでも模試の順位が低かった場合は、勉強を始めた当初の自分を思い出してください。その頃の自分に、いまのような模試の点数がとれたでしょうか。
また、2次試験対策を開始した当初は、80分で事例を解くことができず、マス目も埋まらなかったけれど、演習をくり返せば、とりあえずはマス目を埋められるようになってきます。それでも受験校の事例演習で10点や20点しかとれなかった場合はやはり、試験対策を始めた当初の自分を思い出してください。その頃はきっと、いまのような解答を書けなかったはずです。
勉強を始めた当初を思い出すということは、自身の成長という勉強の効果を感じるだけでなく、診断士を目指した初心を思い出すきっかけにもなり、それがさらに自身のモチベーション向上に寄与してくれることでしょう。
ほんのわずかでも自分の成長できた部分に光を当て、一歩一歩、進み具合を確認しながら、受験勉強をしていきたいものです。合格というゴールにたどり着くには、一歩一歩を積み重ねるしかないのですから。