【仙台地区にお住まいの中小企業診断士受験生の皆様へのお知らせ】
震災のために、中小企業診断士の受験勉強が思うように進まず、悩まれている受験生の方のために、7、8月の2日間、仙台市内で講師常駐無料自習室が開設されます。
中小企業診断士有志が企画したもので、診断士試験(1次・2次)を受験する方ならどなたでも利用することができます。
詳しくはこちらからご覧ください。http://shindanshi-shien.jimdo.com/
定員15名とのことですので、ご予約はお早めに。
同友館では中小企業診断士を目指すかたのサポートとして、診断士に関する情報を提供していきます。同友館の書籍と併せてご利用いただき、診断士資格取得や取得後の活動にご活用いただければ幸いです。
「マスターコース」とは、診断士としての社会的地位向上を目指し、スキルアップや会員相互の研鑚等を通じ、プロとしての診断実務能力の養成を図るとともに、診断士としての資質向上を図ることを目的とする活動であって、(社)中小企業診断協会東京支部中央支会がその運営を支援しているものです。
一緒に仕事を創っていきましょう!
2008年の受講生は、「月刊企業診断」をはじめとするビジネス誌への執筆デビューや講師デビューを果たし、卒業生の半数以上がプロコンとして独立しました。
住田俊二、秋島一雄、福島正人、高橋美紀、樋野昌法、新木啓弘
(いずれも中小企業診断協会東京支部所属)
第3期生は、2009年6月〜2010年6月まで1年間の予定で、開講しています。
「仕事って、依頼者へのプレゼンの場でもあるんだ」―こんなシンプルなことを体感したのは、結構最近のことです。
独立後、思いがけずいろいろな方から声をかけていただき、「その気持ちに、どうやったら応えられるかな」、「こんなアウトプットでいいのだろうか」と、手探りながら自分なりに一生懸命仕事をしています。すると、少しずつですが、次の仕事につながることが出てきました。
独立したての頃、「紹介責任」という言葉を聞いたときは、ただただ「頑張らなきゃ」と思いました。私を誰かに紹介するということは、紹介者が自分の「責任」で相手の方と私をつないでくれたということです。サービス業は無形ですから、紹介者も不安なはず。その気持ちに応えるには、仕事で成果を出すことが一番ですよね。「紹介していただいた気持ちに応えよう」、「お客様に少しでも喜んでもらえるようにしよう」と、いつもドキドキです。そんな中、一定の評価をいただけると、ホッとする気持ちと、「次はもっとよくしよう」という気持ちが入り混じりますが、クライアントによい評価をいただければ、紹介してくださった方もひと安心だと思います。信用というものは、その積み重ねでできていくのだと感じています。といいつつ、納期と品質のバランスをどうとるかは、まだまだ課題ですが…。
「○○さんは、絶対〆切に遅れない」、「□□なら○○さんにお願いすれば大丈夫」―こんな話も、よく耳にします。個人で仕事をするうえで、口コミや評判の影響力はとても大きいものです。依頼されたことにきちんと応えるといった当たり前のことができるかどうかが、次の仕事への分かれ目だと考えています。
私が独立してすぐに周りの方から声をかけていただいたのは、とてもありがたいことでした。でも、この後も続けて仕事ができるか―それがきっと、自分の力を問われるということなのだとも痛感しています。
写真はこの夏、屋形船に乗ったときのものです(こんなにカジュアルな、「もんじゃ屋形船」というのがあるのです…)。一緒に写っているのは、受験生時代に一緒に勉強してきた友人たち。大勢で集まるのは年に数回ですが、このメンバーの多くが独立したり、診断士関係の仕事に携わっていたりするのも、不思議な縁だなぁと思っています。この中に、第2回でお話しした、初めてのセミナー講師のきっかけをくれた方もいらっしゃいます。いま、どうにか診断士としてはじめの一歩が踏み出せたのは、長い受験生時代や企業内診断士時代の友人、その後の活動を通じてお世話になった方たちとのつながりがきっかけなんだと、この写真をみてつくづく思います。
受験しても、なかなか期待した結果が出ないことはあるでしょうし、診断士になっても、活動の時間がつくれない時期はあると思います。でも、「思い」を持って周りの人と誠実に向き合えば、チャンスは絶対にくると考えています。
独立したとき、私は受験生時代にお世話になった先生にメールを送りました。当時、将来の目標を聞かれ、「できればいつか独立して、一人前の仕事ができるようになりたい」と答えたのを思い出し、こう書きました。
「おかげ様で、夢の半分が叶いました。あとは、“一人前の仕事をする”という、重たいほうの半分です。スタートラインに立てたことを感謝し、何事も楽しんで責任感を持ち、やっていきます」
とはいえ、一人前の仕事がどういうものか、まだまだ手探りの状態です。でも、せっかく独立したのですから、自分の力で直接、お客様の役に立つ仕事がしたい。この思いを持ち、正しい方向に向かって努力すれば、道は拓けると信じています。
私のお気に入りのフレーズがあります。尊敬している方から教わったものです。
「社会人の特権は、カンニングで成長できることだよね」
そう、モノマネは成長への近道。「あの人のようになりたい」と思える方が周りにたくさんいるのは、とても幸せなことです。この幸せを大切にして、次に皆さんとお会いするときにはもう少し成長していられるよう、何事も楽しんでチャレンジしていきます。
半年間読んでいただき、ありがとうございました!
「初めは仕事もないだろうし、自分のしたいことをじっくり考えてみよう」
そう考えながら始めた独立生活でしたが、予想に反して、スタートダッシュの日々が始まりました。
独立を決めたとき、私はお世話になった方々にその報告をしました。「何がやりたいの?」と聞かれたら、いまできることではなく、自分のしたいことを答えました。すると、いままでお世話になった皆さんから、さまざまなお話をいただくことになったのです。セミナー講師、執筆活動、創業支援…。1ヵ月って、こんなに短かったかしら? そう思うのはきっと、毎日新しいことや驚きがあるからですよね。
独立して仕事をするようになり、いままでにもまして、「世の中って、あったかい」と感じるようになりました。「初めまして」とかけた電話に対して、親切に答えてくれる方って、こんなに多いのですね。
創業支援の一環で、女性起業家の事例集をつくったときのことです。探していた業種で、女性起業家の知り合いがいなかった私は、複数の女性起業家のことが書かれた本を購入し、そこに載っていた電話番号に突撃取材をしていました。
「初めてお電話いたします。私、中小企業診断士の田中聡子と申します。実は…」
勤務先の社名で電話していたときと違って、ドキドキです。
「きっと、セールスと間違われるよね…。『中小企業診断士って、何? 間に合ってますから、もう電話しないでね』っていわれても、へこまないこと!」
そう自分に言い聞かせてかけ始めたのですが、皆さんの親切な対応に、驚きの連続でした。
「今日は忙しいのですが、明日15時以降ならお時間がとれます。明日また、お電話をいただけますか?」
「せっかくですから、会ってお話ししましょう。何日なら、いらっしゃれますか?」
無報酬の取材依頼にもかかわらず、とてもあたたかいのです。ある関西の方には、すっかり仲良くしていただき、初めての電話で1時間近くお話ししてしまいました。あまりにも嬉しくて、「どうしてこんなに親切にしてくださるのですか?」と聞いた私に、その方はこういいました。
「田中さん、事業を起こすときってね、人の縁でお仕事がつながっていくのです。私も仕事を始めたときは、そうやっていろんな方に助けてもらっていた。自分で仕事を始めた人は、みんなわかっている。だから、気にしなくていいのよ。お仕事、頑張ってね。早く軌道に乗るといいわね」
顔も知らない方からのあたたかい言葉は、電話を切ってからもずっと頭の中で響いていました。
一方、苦労していることも、数え上げればキリがありません。たとえば、受験生時代にも苦労した「経営情報システム」。私はいまも、ITが苦手です。「ITが使いこなせれば、もっと効率的に働けるだろうに」と思いながら、悪戦苦闘の連続。思いがけないところでパソコンがフリーズしたり、突然、自宅の無線LANが接続されなくなったり…。1年前に友人から教わるまでは、キーボードの「ctrl+S」でwordなどの上書き保存ができることすら知らなかったくらいですから、「IT以前」といわれそうですが…。
でも、アウトプットの機会って、インプットの原動力になりますよね。こんな私が、友人と一緒にITの記事を書くことになったのです。
ご覧いただいた方がいらっしゃると嬉しいのですが、5人で書いた月刊『企業診断』2010年8月号「ITキャズムの渡り方」のことです。これは、ITオンチの駆け出し診断士・ワタルくんが、謎の仙人に助けられて成長していく物語。この記事は、「フリーソフトで、簡単・便利に環境改善」というテーマだったのですが、ITオンチの私には、そもそもネタがありません。便利そうなソフトを試しても、途中でフリーズしたり、うまくインストールできなかったりで、連載の第2回で書いた『ふぞろいな合格答案』作成時の徹夜を思い出させる日々でした。
でも、そんな私が、ITに詳しい執筆メンバーの愛のムチ(?)を受けながら、少しでも知識を得られたというのは、まさに記事の中のワタル君状態だったのかもしれません。ITの克服はまだまだ先ですが、この執筆を通じて、IT環境改善の階段を1段くらいは上れたのかな、と思っています。
こんな日々を送るうちに、あっという間に半年以上が経ちました。連載も、いよいよ残り1回です。次回は、今後の目標にも触れてみようと思います。それではまた、来月もどうぞお付き合いくださいね。
会社で早期退職募集の話が持ち上がったのは、前回お伝えしたとおり。そして、私の年齢も対象に入っています。モヤモヤしていた自分の夢に、急に期限がつきました。「そんなに独立のことを考えていたのに、まだ迷うの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。でもそれまでは、「いつまでに独立する・しないの結論を出す」とは、期限を決めていなかったんですよね。早期退職の応募期限は11月末。申し込み期間は、約2ヵ月でした。
なかなか気持ちが決められず、いろんな方に相談しながらも、自分の気持ちが独立に傾いていくのがわかります。
「今辞めたら、会社に迷惑かな…」、「辞めたら母が心配するかな…」。
会社に愛着もあるけれど、本当にしたい仕事はどちらなのか。今思えば、もう辞めることを中心に悩んでいました。結局、決め手になったのは、「自分に正直になり、やりたい仕事をしよう」という、いたってシンプルな気持ちでした。
ところで、ここにくるまでに実は、ひと騒動ありました。
旦那さんは独立に賛成し、応援してくれていましたが、母には予想以上に大・大・大反対されてしまいました。母は、ほぼ定年まで勤め上げた元公務員。親戚もサラリーマンや公務員ばかりで、自営業の方はほとんどいません。昔、親戚が喫茶店を経営していたときも、楽しいことより苦労話をたくさん聞いていたようで、その印象が強いのでしょう。
「今辞めなくても、定年後にもう1回勉強して始めればいいじゃない」、「今はわからないかもしれないけど、安定も大事よ」、「周りのお友だちにも相談したけど、同じことを言っていたわよ」、「お父さんも生きていたら、きっと心配して反対したわよ」
辞めようという気持ちを電話で初めて伝えたときは、こんな会話のオンパレードでした。
困りました。親が娘を思ってのことですから、「もう決めたから!」なんて一方的なことは言えませんよね。さらに、親にも納得してもらえないようでは、独立してもうまくいかないだろうとも思いました。そこで、電話を切った後、母が反対している理由を整理してみました。
ほかにもいろいろありましたが、大きな理由はこの3つでした。(1)は価値観のギャップ、(2)は情報の非対称性、(3)は情報の非対称性からくる金銭面の心配です。
旦那さんに賛成してもらえたのは、受験生時代から今までの活動、悩み、嬉しかったことなどを全部みてきていたからです。勤め先も一緒でしたから、会社のよい点も悪い点も知っています。つまり、彼には(2)も(3)もなく、情報を共有できていたことが、独立を賛成してもらえた一番大きな要因でした。
ならば、母にも私の持っている情報をたくさん伝えるところから始めよう(つまり(2)と(3)の解消です)―そう、考えました。価値観は変えられないでしょうが、母と私の価値観の根っこはそんなに違わないことも、話しながらわかってもらおうと思いました。
とはいえ、心配のあまり感情的になっている母にいきなりそんな電話をしても、聞いてもらえないに決まっています。いつまでに納得し、賛成してもらえたら会社を辞めることができるのか、デッドラインを考えながら、母にも考える時間を持ってもらおうと、2日、3日と間隔をあけながら、自分の考えや計画を少しずつ伝えていきました。母には、デッドラインも伝えました。それで、そこまでにどうすればいいのか、母の不安をどうしたら少しでも減らせるのかを、徐々に一緒に考えるようになったのです。結局、20日近くの話し合いを経て、「応援するね」と言ってもらうことができました。
「中小企業の経営者の方が、金融機関から融資を受けるときに障害となるのが情報の非対称性で、解決策は自主的な情報開示である」と受験生時代に習いましたよね。また、「融資を決める大きな要素は、経営者の資質である」とも白書に書いてありました。
経営者は信用できるのか―それを判断してもらうために情報公開が必要なことは、理解していたつもりだったのに、自分の身の周りのことすらできていなかったことに改めて気づかされた騒動でした。
この後、しばらくして母から手紙が届きました。いつもお茶目な手紙を突然送ってくる母なので、「今回もそうかな」と思って封を開けたら、涙で前がみえなくなりました。
元気だった頃の父の写真の下には、「無理をせず急がず小さな一歩から 勇気に乾杯 みんなで応援しているね」の文字。さらに、私の旦那さんへ向けて、「私をよろしくお願いします」という趣旨の手書きの文字が添えられていました。
「生きていれば、父もきっと反対したはず」と言っていた母が、やっと覚えたパソコンを使って一生懸命応援メッセージをつくってくれた姿が目に浮かびます。大変なことがあっても、この手紙をみたら絶対頑張れる―そう、思いました。
こうして母の賛成ももらった私は、会社に退職の意向を伝えました。17年間勤めていたこともあり、会社に伝えた前後は、相当おかしなテンションだったと思います(苦笑)。でも、その時期は、独立している診断士の友人に誘ってもらい、1ヵ月半かけて飲食店の覆面調査を一緒に行っている最中でした。「辞めることに決めたよ」から「昨日、会社に伝えたよ」までの間、覆面調査の合間を縫って、独立の苦労や面白さを教わりました。
こんな形で、周りの人に相談しながらようやく自分の正直な気持ちと向き合い、いよいよ独立することになりました。「初めはきっと仕事もないだろうし、有給休暇も取り損ねたから、じっくり将来の計画を考えよう」と思っていたのですが…。
「少しだけ口に出してみようかな。独立したい、って…」
自分の中で育ってきた独立したい気持ちを、初めてほかの方に伝えたのは、去年の7月、お世話になった先生が開催したセミナー終了後の、懇親会の席でした。自分の気持ちが固まってもいないのに、そんな話をしたら笑われるかな…と、ドキドキしながら口にしたのですが、周りの方からは予想外に、真剣なコメントをいただきました。
「今日話した印象からすると、人と話す仕事は向いていると思うよ」
「独立するなら、早いほうがいいよ。働きながら経験を積む期間は、どうしても必要だからね」
会社では、大勢の人前でプレゼンする機会は、ほとんどありませんでした。診断士になってからも、セミナーは、前回お伝えした「接客セミナー」1回だけです。でも、もしかしたら、もっと努力すれば、話す仕事やコンサルティングの仕事もできるようになるのかな…。そんなことを考えているうちに、少しずつ、周りの方に独立を迷う気持ちを話す機会が増えてきました。
人前で話すときの緊張のほぐし方を教わったのは、所属している研究会の夏合宿でした。この合宿では、観光地へ行き、「ミステリーコンサルティング(略してミスコン)」と称した「勝手に診断コンテスト」を開催しました。商業集積を回り、提案骨子を考え、プレゼン資料をつくり、チーム間で発表して内容を競う、という企画を、正味半日という限られた時間内で行うのです。
「田中さん、プレゼンテーターをやってみようよ。途中で、どうしてもダメだってなったら、フォローするからさ」
そう声をかけてくださったのは、くじ引きで同じチームになった研究会のリーダーでした。独立し、コンサルティングや研修を数多く手がけている方です。
「自分1人で話そうとしないで、観客を巻き込めばいいんだよ。質問したりして、ね」
その言葉を頼りに、みんなの前でプレゼン開始です。しかも、即興力を競う企画なので、資料は先ほど完成したばかり。準備もほとんどできていない中、知り合いとは言え、やはり20名近くの前で話すのは、ドキドキでした。でも、質問や対話をしながら進めたプレゼンは、「接客セミナー」よりはずっとラクでした。
「こうやって話せばいいんだ。プロコンの方の教える力って、すごいなぁ…」
もちろん、話し方の課題は、まだまだたくさんありました。でも、ここで自分を変えてもらったことで、「教えることで人を変える」という仕事の魅力を感じ、自分でさまざまな仕事をしたい気持ちは、さらに強くなっていきました。
月刊『企業診断ニュース』の取材・執筆のお話も、独立した友人の診断士からいただきました。第1話でお伝えした、「ふぞろいな合格答案」に携わるきっかけになった方からです。同じ年に診断士試験に合格したのですが、その後独立し、さまざまな分野で活躍されている方でした。
初めての取材は、一緒に行っていただきました。質問の引き出し方、話のまとめ方に、ただただびっくりでした。でも、そのおかげで掲載記事は、周りの方から「面白い」と評価していただくことができたんです。ここに、こうして連載させていただくことになったのも、もとはと言えば、あの記事がきっかけでした(同友館さん、そうでしたよね♪)。
こうして、独立して仕事をされている素敵な方を目の当たりにするたびに、自分も少しでも近づきたい―そんな気持ちが、日に日に強まります。そんな中、会社で早期退職募集の話が持ち上がったのです。
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このコラムをお読みいただいている受験生の皆さん、学習ははかどっていますか? 当初計画した学習スケジュールの進捗状況は、いかがでしょうか? 順調に学習計画をこなしている方、少し遅れ気味で何とか当初のペースに戻そうと奮闘されている方、ずいぶん遅れ気味で半ばあきらめモードになりつつある方、そもそも計画らしい計画は立てていらっしゃらない方等々、いろいろな方がいらっしゃると思います。
私が受験生活を送っていた頃は、Excelで学習計画表を作成し、縮小印刷して手帳に貼り付け、いつでも確認できるように肌身離さず持ち歩いていました。今週は企業経営理論、来週は財務・会計、その翌週は生産管理といった具合に、比較的ざっくりした計画ではありましたが、その計画表をペースメーカーに、テキストの熟読や問題集チャレンジ等に取り組んでいました。仕事をしながらの学習でしたので、まったく勉強できない日も多々ありましたが、その都度手帳を開いては進捗状況を確認し、必要に応じてスケジュールの修正も行いながら勉強を進めていたことを、いまでも鮮明に覚えています。
診断士試験は学習範囲がとても広いため、ひと通りテキストを読み込むだけも相当な時間を要します。ようやく読み終えたと思っても、最初の頃に読んだ内容はすっかり忘れていたり、一度チャレンジした問題であっても、再度トライすると同じ問題でつまずいたり、そんなことは日常茶飯事でした。それでも、めげずにくり返しテキストを読み、問題集を解いて、知識を深める。その連続でした。
診断士資格は、いまやビジネスパーソンにすっかり人気の資格となりました。社団法人中小企業診断協会発表の「第1次試験の統計資料」※によれば、平成22年度1次試験の申込者数は21,309人で、受験者数は15,922人とのこと。申し込みこそしなかったものの、診断士を目指して学習中の方も多数いらっしゃるでしょうし、毎年数万人のビジネスパーソンが、この資格を取得するために努力していることがわかります。
合格率を見ると、診断士試験の難しさを改めて実感しますが、難しさの1つの要素として、1次試験の合格に有効期限が設けられていることが挙げられます。有効期限を設定することの意義や重要性は十分に理解しているものの、私も受験当時は、この制度のおかげでずいぶんと苦労しました。決して簡単な試験ではない、だからこそ価値があるのだと自分に言い聞かせては、何度もチャレンジをくり返したものです。
中小企業を取り巻く環境は刻々と変化しており、経営者も日々変化する経済経営環境と向かい合っています。「変化への適応こそが、企業の生きる術」と言いますが、中小企業を支援する立場である診断士も同じく、もしくはそれ以上に変化対応力が求められます。そうした認識のもと、私は今日も明日も新しい情報や知識に触れ、それらを知恵に変換できるよう、取組みを続けています。とは言え、漠然とそれらを行っていては、なかなか自らの糧になりません。そのため、受験生時代とは少しスタイルが異なりますが、いまでも新たな知識の習得のために、計画的に学ぶ努力を心がけています。とにかくまずは、計画を立てること。そして、行動・チャレンジをすること。こうした取組みがあってこそ、その延長線上に合格という成果があるのです。
先ほど1次試験の申込者数と受験者数をご紹介しましたが、数字に開きがあったことに、皆さんはお気づきになりましたか? 決して安くない受験料を支払って申し込んだものの、結局は受験しなかった方々が、4人に1人もいらっしゃるのですね。この数字には、私も驚きました。
申し込みんだのに受験しなかった、もしくはできなかった理由はさまざまだと思いますが、当初計画した受験勉強がなかなかはかどらず、受験を断念された方も多いのではないかと思われます。申し込みをした瞬間から試験当日まで、改めてタイムマネジメントを心がけ、学習に取り組んでいれば、受験を断念する方がこれほど多くはならなかったのではないでしょうか。
タイムマネジメントの重要性を認識すること。これは、試験合格のみならず、ビジネスパーソンとして、非常に大切なことですね。私自身、このコラムを書きながら、その重要さと難しさを痛切に感じている今日この頃でした。
診断士2次試験に合格して間もない頃、あるラジオ番組を聴く機会がありました。それは、30年間にわたって毎日ジョギングをしている高齢男性へのインタビューでした。その方は運動のおかげなのか、高齢にもかかわらず、若々しく朗々とした声だったことを覚えています。
私は受験生時代、主に朝の時間を使って勉強していました。その後、試験に合格し、受験勉強をしなくなってもやはり、早朝に目が覚めてしまうわけで、朝の時間を持て余していた私は、このインタビューを聴いてジョギングをすることにしました。とは言え、ジョギングなんて高校時代の部活以来、20数年ぶりの話です。
初日は30分間走る予定でしたが、ほとんどウォーキングになってしまいました。おまけに、翌日はひどい筋肉痛です。しかし、それに耐えて毎日走り続けているうちに、いつの間にか筋肉痛がなくなっていきました。そしてしだいに、ウォーキングよりもジョギングの時間のほうが長くなり、当たり前のように30分間完走できるようになっていったのです。
走ると体の細胞が活性化するのでしょうか、爽快感も得られるようになってきました。また、血行がよくなったのか、筋肉がついたのか、長年苦しんできた腰痛・肩こりも解消していきました。さらに数ヵ月後、ズボンのウエストが緩くなってきていることにも気づきます。初めて知ったダイエットの味。ジョギングの効果が、目に見えて現れるようになってきました。
あれから3年半が経ちますが、いまだにジョギングは続いています。効果を感じることができ、そのような経験があるからこそ、これまでジョギングを続けられたのだと思います。
診断士の受験勉強においても、効果を感じながら勉強できれば楽しくなりますし、継続することも苦ではなくなるでしょう。しかし実際には、自分にどれだけ実力がついたのか、勉強の効果を感じられず、無力感に襲われることもあると思います。ここで気をつけたいのは、勉強の効果は降ってくるものではなく、自分で見つけ出していくものだということです。
1次試験の勉強を開始した当初は、テキストの内容が理解できず、講師の言っていることがちんぷんかんぷんな状態でも、それなりに時間を費やせば理解できるようになってきます。それでも模試の順位が低かった場合は、勉強を始めた当初の自分を思い出してください。その頃の自分に、いまのような模試の点数がとれたでしょうか。
また、2次試験対策を開始した当初は、80分で事例を解くことができず、マス目も埋まらなかったけれど、演習をくり返せば、とりあえずはマス目を埋められるようになってきます。それでも受験校の事例演習で10点や20点しかとれなかった場合はやはり、試験対策を始めた当初の自分を思い出してください。その頃はきっと、いまのような解答を書けなかったはずです。
勉強を始めた当初を思い出すということは、自身の成長という勉強の効果を感じるだけでなく、診断士を目指した初心を思い出すきっかけにもなり、それがさらに自身のモチベーション向上に寄与してくれることでしょう。
ほんのわずかでも自分の成長できた部分に光を当て、一歩一歩、進み具合を確認しながら、受験勉強をしていきたいものです。合格というゴールにたどり着くには、一歩一歩を積み重ねるしかないのですから。
診断士資格の取得を目指そうとしている人から、「診断士資格って、役に立つんですか?」という質問を受けることがあります。私も診断士を目指そうと思った当時は、診断士がどんな資格なのか、資格を取るとどんなメリットがあるのかがとても気になりました。
でも、次の質問には答えられません。
「診断士資格を取ったら、独立できますか?」
質問する本人にしてみれば、せっかく時間をかけて勉強するのであれば、価値が高く、将来的に役に立つ資格を狙いたいと思っての質問でしょう。そして、合格率は高く、勉強時間やお金などの投入コストは低いほうがいいに決まっています。
ここで、ブルームの「期待理論」の式をまねて、「資格の期待値」の式をつくってみました。
資格の期待値=「資格の絶対価値」×「合格率」÷「投入コスト」
※本当の期待理論の式は、「努力が報われる確率」×「報酬に対する主観的価値」=「仕事に対するモチベーションの高さ」です。
どうですか? 皆さんの頭の中でも、こんな感じでそれぞれの資格の期待値を計算されているのではないでしょうか。
私がつくったいい加減(?)な式ですが、さっそく検証していきましょう。まず、この式の中にある「合格率」と「投入コスト」という項目ですが、これは統計的なデータがあれば算出できる値です。問題は、「資格の絶対価値」でしょう。でも、ちょっと待ってください。そもそも「資格の絶対価値」って、本当にあるんでしょうか。ここで改めて、資格の価値について考えてみます。
皆さんが目指している「資格」には、いったいどんなベネフィットがあるのでしょうか。私が考える資格のイメージとして一番近いのは、「道具」です。たとえば、農作業で使う「鍬」のようなものです。もし畑を耕すのであれば、鍬を持っていれば、ない場合に比べて効率的に作業を進められるでしょう。もしかすると、鍬を持っていない人から「俺の仕事を手伝ってくれ」と頼まれるかもしれません。
ただし、自動車をつくる仕事をしたいのであれば、鍬を持っていてもほぼ間違いなく役に立ちません。むしろ仕事が多種多様な現代では、鍬を持っていても役に立たない仕事のほうが多いのが普通です。
このように、どんな仕事にでも役に立つ道具がないのと同様、どんな仕事にでも役に立つ資格もないんですよね。つまり、「絶対的な価値」を持った資格なんかないということです。
また、弁護士のように難易度が高く、希少性のある資格を取ったとしても、そもそも法曹の仕事が好きでなければその資格が使われることはありません。自分のやりたいことや将来の目的ではない資格を取っても、これまた役に立たないのです。
とは言っても、診断士資格は他の資格に比べて、汎用性は高いでしょう。ビジネスのさまざまなシーンでその知識を活かすことができます。しかし、残念なことに決して万能ではないし、持っているだけで価値のある「金のガチョウ」でもありません。
診断士には、「クライアントのために能力を活用できる」、つまりクライアントのことを「考え」、「伝え」、「成果を上げる」といったことが楽しいと感じる、ちょっとお節介な適性が必要になります。
というわけで、先ほどの式を修正してみました。
資格の期待値=「目的と資格の適合度」×「資格に対する個人の適性」×「合格率」÷「投入コスト」
この式で資格の価値を算出するためにも、まずは本人の資格取得の目的と自身の適性を分析することが必要になるのではないでしょうか。もちろん、資格を取ってから目的を考えてもいいのですが、私のようになかなか方向性が定まらずに苦労するので、あまりおすすめはできません。
もちろん、企業価値算出の公式が複数あるように、資格の期待値の公式が複数あってもいいですよね。というわけで、診断士の期待値の別解がこれです。
資格の期待値=「あなたに対する顧客の評価」
診断士の価値を決めるのは自分自身ではなく、顧客がすべてというのがつまるところの結論だと思うんです。顧客が何を望んでいるかを把握し、顧客のために何ができるかが大切ですよね。
現在の診断士試験では、「能力」は測定できますが、コンサルとしての個人の「適性」は測定できません。もしも将来、診断士試験で「能力と適性」を測れるようになり、コンサルティングに必要な資質を保証できるものになれば、診断士という肩書きだけで仕事を依頼されることがあるかもしれませんね。
街中を散策するのが好きな私は、仕事のかたわら、さまざまな街の風景やお店、ビルの看板などを眺めながら歩きます。パンパンに中身の詰まったカバンを持ち歩くことも多く、大変なときもありますが、それはそれで健康維持にもなるため、最近は意識的に歩くようにしています。
街中を歩いていると毎日、新しい発見があります。飲食店では、美味しさや値頃感を演出するため、店頭でさまざまな工夫が凝らされていたり、その地域の客層に合わせて営業時間の設定がなされていたりします。また、ビルの看板にある企業名を眺めながら、業種や企業規模を想像してみたり、パンフレットがあれば手にしてみたりもしています。日本には420万社もの中小企業があるため、すべての企業に接することは現実的に無理がありますが、一歩街に出てみると、多くの中小企業がバイタリティを持って頑張っている様子が伝わってきます。
中小企業は、日本経済を支えるダイナミズムの源泉であると言われます。中小企業が元気であればこそ、日本経済が活性化するのです。では、中小企業が元気になるために何が必要で、いま何が足りないのか。そして、それらの問題や課題を解決するために、私たち診断士にできることは何か。独立後は、街中を歩きながらそうしたことを考える機会が多くなりました。
中小企業はそれぞれに、さまざまな経営上の問題や課題を抱えています。人材育成や資金繰り、システム整備、新商品開発、設備投資、知財保護等々。挙げればキリがありませんが、これらの問題・課題をすべてクリアするためには、それ相応の時間と労力がかかります。また、不透明な経営環境が続く中、新たな一手を打ち出していくための事業開発はとても重要で、ビジョン策定や戦略構築のために、どれだけの時間やリソースを割けるかが、将来の経営を方向づけることになります。しかしながら、目先の問題への対処や売上確保に時間をとられ、それ以外の目的で時間を確保することが難しい経営者も多くいらっしゃるのが現状のようです。
では、この理想と現実のギャップはどう埋めればよいのでしょうか。皆様はもうお気づきかと思いますが、そこに診断士という資格の意義があり、私たちの役割があります。皆様が目指しているこの資格は、社会的に強く必要とされているのです。こうした事実を強く理解することこそが、皆様にとっての一番のモチベーションにつながるのだと思います。
独立診断士として活動している私は、日頃から中小企業の経営者の方々に対し、経営理念の重要性や将来ビジョンの意義を唱えていますが、これらの重要性は、受験生の皆様にとっても同様だと思います。「なぜ資格取得を目指すのか」という目的意識を強く持つことこそが、合格への近道です。かく言う私も、自らのスキルアップや自己啓発のために勉強を始めたわけですが、中途半端な学習で易々と合格できる資格ではありません。だからこそ価値があり、意義のある資格なのですが、当時はあまり目的意識を強く持ち合わせていなかったため、予想していた以上に受験生活が長引いてしまいました。
その後、本格的に学習を始め、何年か受験生活を続けていくにつれて、私にとっての目的意識は少しずつ変化していきました。そして、それに合わせて資格取得への気持ちも、「Want(取得したい)」から「Must(取得しなければいけない)」に変わっていきました。合格を強く意識するようになり、合格にこだわり続けた結果、無事に合格することができたのです。
私たちが支援する中小企業の経営者が、リスクテイクしながら前のめりで事業を行っているのと同様に、私たちも合格という結果にこだわり、前のめりで学習を進めていく必要があります。勉強を始めれば、場合によってはプライベートの時間や家族と過ごす時間が失われることにもなりますが、経営者が日頃からとっているリスクに比べれば、まだかわいいものでしょう。「多少の犠牲を払ってでも、この資格を取得したい」、そして、「中小企業のお役に立ちたい」と強く思えるかどうか。それが、合否を分ける一要素ではないかと思います。
皆様の合格を、身近にいる中小企業経営者の方々が待っています。こうなったら、頑張るしかありませんね。日本経済のダイナミズムの源泉である中小企業のために、WantからMustに気持ちを入れ換える時期がきているのかもしれません。
現在コンテンツ準備中です。
現在コンテンツ準備中です。